持続化給付金に関わる不透明な資金の流れについて

市議会議員 佐藤 壽三郎


政府が創設した中小企業向けの持続化給付金の目的は、「収入が一定以上減少した中小企業などに最大200万円が支払われる」。資金繰りが切迫する中、事業継続の可否に影響を与える資金ではないか。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、困窮する企業に対して死活問題一助策として、第1次補正予算に2兆3176億円が計上されたが、「轍鮒の急」を少しも理解しない安閑とした政府職員らの姿勢が垣間見えるように支給の遅れが目立つ。

さて、国の第一次補正予算の持続化給付金769億円について、経済産業省は一般社団法人サービスデザイン推進協議会(以下、協議会)へ電話相談や振り込みなどの事務を一括外注した、協議会は20億円(給付金の振込手数料や人件費などに充てられる説明)を中抜きして、大手広告代理店の電通749億円で再委託したという。電通から更に人材派遣大手パソナやIT企業のトランスコスモスなど電通の子会社5社に総額645億円で再々委託されたと言う。何と電通は振り分け作業で中抜き、ピンハネを104億円したことになる。この一連の構図の中で4年前に設立した協議会は予算を流すだけの「トンネル機関」だった可能性があるとする嫌疑が浮上した。中抜き、ピンハネで124億円が減額され、769億円予算が実質645億円に減額し、更に孫受けした会社の費用が天引きされるとすると、持続化給付金が実態金額が分からない。困窮する企業は藁おも掴む思いで国の一助に生死を賭けて、持続化給付金の給付を望んでいるのに、何とも情けない国民を食い物にした構図としか思えない。

持続化給付金は来週審議入りする見通しの、第2次補正予算案にも1兆9400億円を積み増した。未だに協議会の実態も解明されていない。組織には常勤理事はおらず、今回の業務で再委託を受けた電通やパソナなどのメンバーで非常勤理事を構成している。業務を国から受注するため、企業側が窓口として実態のない社団法人を設立した可能性があるとの指摘のなか、不明朗な委託が繰り返され、給付のコストが膨らむことは認められない。一連の行為を「どさくさ紛れの蝉(せん)蛻(ぜい)行為だ」と非難されても仕方あるまい。政府は一連の経緯について、国民に詳しく説明する責任があるのは当然だ。

令和2年(2020年)6月30日