地方自治体における事業仕分けについて

 市議会議員 佐 藤 壽三郎

1) 事業仕分けの定義。
2) 事業仕分けの目的。仮に須坂市で事業仕分けが必要であるとすれば、そもそも仕分け対象になったその事業をどこでやるのか。
3) 公か民か。公であれば市か、県か、国なのか・・・
4) 仕分け人の構成員はどのように構成するのか。
5) 論議する場は公開なのか否か。
6) 事業仕分けをする時期は何時が適切なのであろうか・・・

 事業仕分けは、市が行っている行政サービスが、それ自体必要なのか否かの始点に立たなければ意味がない。既得権益と言われるしがらみも無視しての論議が必要とされている。市長のパフォーマンスのお助けであってはならない。

 国の行っている事業仕分けは、議員内閣制を根幹に於いての政党の主導による運用であるが、地方自治体は首長と議会の二元代表制である事を十分認識しなければならない。地方政治は、自称首長与党はあっても、政党政治は県レベルの話であって、市議会は議員内閣制を敷いていないからである。県会が恰も国政の如く議員内閣制もどきの議会運営をしていることが、私には理解できないでいる。寧ろ訝しく思います。

 国会議員に求められる、議員内閣制の制度趣旨から派生する、議員行動の制約は地方議員にはない。首長の施策に何時でも「異議あり」「この事業は不必要である」と提唱する権利はあるが、敢えて地方政治に事業仕分けを導入する整合性を先ず論じなければならない。

 手元にある資料からすれば、事業仕分けを行っている国の省庁にとどまらず、
○府県は、京都府、岐阜県、岩手県、秋田県、高知県、三重県、長野県等。
○市は、三浦市、新潟市、横浜市、高島市(滋賀県)、岡山市、熱海市、秋田市、厚木市、滝川市等。
○町では大磯町(神奈川県)、寒川町(神奈川県)、騎西町(埼玉県)、北栄町(鳥取県)で行われている。
 仕分けの内容もまちまちである。これからの仕分けの経験が積み重ねてゆくことが大切である。

 地方自治体の事業仕分けについて異論はないが、地方議会が事業仕分けにどのように絡むかが大きな課題である。地方議会は事業仕分けに大いに関心を示し注目すべきであるが、一定の距離を置いて議員の本分に則ての、議員活動が必要である。何故ならば、市議会の使命は須坂市の意思決定機関であることを忘れてはならない。


 ところで、本日予算決算特別委員会が開かれ、以下にお示しする事項について協議が為された。

1)前年度の歳入歳出状況について協議が為された。
この時期、未だ流動的な歳入月計表や歳出月計表の帳尻を捉えて、あれこれを議論することは余り意義がないのではないかと思料する。示された資料によって何を質そうとするのか。資料の数値の確定度から推しても正確な判断は出来ない。何を意図して本資料を求めたのか訝しい。

2)事業評価(一次評価)の予定について(平成22年度事務事業評価実施要領の説明を受けた。)
要領中、評価調書の作成方法に私は異議を唱えました。実務を担当する担当者の作成と所属長、更に担当部局長の「ふるい」がかかって初めて行政評価外部評価員の目にさらされる。これはきわめて恣意的で独占性な選別に陥る惧れもあり、更に熱血漢の若き職員の具申の握り潰しも危惧されるものではないか。

 3)事業仕分け実施計画について(平成22年須坂市事業仕分け実施計画(案)の説明を受けた。)
実施計画(案)について私は質疑と提唱したこと。
T) 国の事業仕分けと地方自治体の事業仕分けは目的趣旨が異なると説明を受けたが、示された実施計画の目的と国が行っている事業仕分けの定義が、資料を見比べる限り同じではないか。

U) 国は議員内閣制、地方政治は二元代表制とそもそも統治の仕組みが異なっていることを慮ると、仕分けは自ずから異なるのではないか。

V) 事業仕分けの対象事業数を20〜30とするが、その選出基準は何か、誰が選出するのか。仕分け対象事業が商工・労働分野に注目されていることが、先進の県や市の仕分け作業をした結果報告として示されているが、このことは当然承知のうえか。

W) 事業仕分け作業を学識経験者、他自治体職員、市民などとするが、「他自治体職員」を仕分け員にすることは避けるべきである。

X)「事業仕分けの結果を須坂市がそのまま採用するわけではない」と実施計画(案)には記されている。これは当然の話である。採用するかどうかは市長が為すべきであり、市長が為すべき施策を須坂市の意思決定する機関が市議会であることを再認識しなければ、議会制民主主義(間接民主主義)は瓦解するし、(事業仕分けによって市民の願意が叶うとなれば、市民からは)議会無用論にもなりかねない。(議会制民主主義を護るためにも)議員としての矜持をもつことが大切。


 と私は発言しました。

2010年05月21日記す