宿六 やんぬるかな

 
 

  女房は早朝から 庭の草刈りに勤しんでいる
  一雨が草を育て 青々とした茂みを呈す
  山椒を切ったのであろうか 香が書斎に届く
  私は思わず 草木の気を浴びたおもいだ

  草木は 烈火の陽を浴びるも 日を日に繋ぐ
  実を結び子孫を残さんがために 踏んばっている
  女房に枝葉を切られるを 恰も予想して葉を伸ばす
  したたかな草木を 宿六は褒めるとしよう

  ものぐさな宿六は 今日も早朝から読書
  草木の管理を女房に任せ 書の世界にのめりこむ
  鎌の草刈る音に ふと草木に目をやれば
  草木 早くも晩秋に向けての調いを窺わせる模様

  草木輪廻を忘れず 己の賦命に従う
  年々歳々 花相い似たりと雖も 同じからずと
  年々の進歩が草木にあるも
  人類の進歩は世代としてゆるいものぞ
  
  やんぬるかな やんぬるかな




2007/08/07 (火)