須坂市の防災について提言
犀川・千曲川・信濃川は国の一括管理にすべし


市議会議員 佐藤壽三郎

 県歌・信濃の國にもあるように、県内を流るる河は、「北に犀川・千曲川、南に木曽川・天竜川」と高らかに歌い上げる。何れも国の固めであり、長野県民の誰しもが誇りにしている河である。
 長野県は四方(よも)に山脈(やまなみ)が聳(そび)えます。岐阜県と長野県の県境には飛騨(ひだ)山脈があります。この山脈の岐阜県側に太平洋の湿った空気が当たると上昇気流が発生し雨雲を生み出し、岐阜県側に甚大な豪雨をもたらします。更にこの雨雲が山脈を越えた場合には、飛騨山脈を挟んで長野県側も同様の豪雨になると言われています。今回の岐阜と長野の豪雨は、この地形的なものがもたらしたものと言われています。


 長野県は縦に長い県です。分水嶺は塩尻峠に位置します。これを境に太平洋に流れ込む木曽川、天竜川。日本海に流れ込む、姫川、関川、千曲川と分かれます。ところで千曲川は、犀川(梓川、奈良井川、穂高川、高瀬川が松本市で合流)と、佐久を源流とする千曲川が長野市川中島で合流し、河川名は千曲川と変わりませんが、一気に水嵩が倍増し、善光寺平の千曲市、長野市、須坂市、小布施町、中野市、飯山市、木島平村、野沢温泉村、栄村の郡境を縫って、新潟県に流れ込み、河川名を信濃川と替えて日本海に注ぎ込む、日本一長い大河です。


 北信の河東区域にある須坂市、高山村、山ノ内町、栄村の奥山は群馬県・新潟県と県境が接してます。県境には越後山脈が横たわり、この山脈の稜線が分水嶺です。山に降った雨水が稜線を跨いで群馬県側に流れ落ちると、利根川を経て太平洋に注ぎ、長野県側に流れ込むと総ての谷川の水は千曲川に流れ込み、日本海に注ぎます。


 中信地方(木曽、松本、大町地方にまで横たわる飛騨山脈:通称北アルプス、中央アルプス)とりわけ北アルプスと、東信地方(佐久地方に横たわる関東山地)に降った雨は、南アルプスの峰々の降雨を集める木曽川、北アルプスの一部の降雨が流れ込む姫川を除いて、北信(善光寺平=長野盆地)の千曲川に流れ込みます。


 節度ある河川の流れであれば、農作物に恵みをもたらす恵の河川ですが、豪雨となれば濁流に変化し、堤を破壊して暴れ狂い、時には人命を奪い、田畑を流し、市街地に洪水として押し寄せ、家屋を破壊し町並みをズタズタにしてしまいます。


 長野県は古来より台風シーズンに限らず、梅雨時期も県内の4大河川が暴れ狂い甚大な水害を被る歴史の繰り返しです。「千曲川は源流の佐久から、信濃川として日本海河口の新潟まで通しで、国が管理すべきだ。」と、私は昨年の第19号台風の際に一般質問で提言しました。理由は、犀川、千曲川、越境しての信濃川の河川保持改修や維持管理のための巨費は、国でなければ到底賄いきれないからです。


 県知事の同趣旨の提唱と相俟って、国も漸く動く気配をみせています。一括管理と言っても様々な歴史的経緯や事情が障害として要望を阻みますが、人命第一を慮るならば将来は屹度、犀川・千曲川・信濃川は国の一括管理下になることを切望いたします。


令和2年(2020)7.11