思えば30年の歳月が流れた


 社団法人長野県宅地建物取引業協会(通称:宅建協会)は、毎年この時期に「業者研修会」を開催している。かれこれ40年にもなる伝統ある研修会である。

  不動産取引業に携わる人たちを、こころ無い人たちはブローカーと呼び、強面(こわもて)の業種イメージであったことについて、何とかして不動産取引業をメジャーな業種にしようではないかという、不動業者に携わった当時の青年たちの願いが先輩達を動かし、この業者研修会の端緒となって、今日まで受継がれているものである。

 当時、このようなゆゆしき事態を官公も何とか解消しようと、初期の研修会の雰囲気は、不動産取引業に関わる主要な法律や事例を、その分野を所管する税務署、長野県、県警等から職員が講師として出向して、謂わば、宅建取引業が「免許」である自覚を、官公署の強い指導管理下によって、この研修会で周知させようとする威圧的な雰囲気も窺えた。

 講師陣については、今も原則的に変わりはないが、宅建協会が主催しているところに、初期のころには見受けられなかった、宅建協会の自主性が感じられるし、研修会を重ねることによって、不動産業は『権利の変動』と言う法律行為に携わる、極めて責任の重い職業である自覚も沸いてきている。

 この研修会に最初に参加したのは、私が30歳の時であった。30年前の講義やテキストの内容は、将に受講対象者のうち、宅建取引主任者以外は殆んどが法律を全く知らない人たちであり、宅建取引主任者の資格保持者が、わざわざ長野市まで出向いて受講する内容ではなかったが、それでも参加してみると、税制については最新情報が受講できるメリットがあったので、以後も参加したものだった。

 偏に30年と言うも、当時私は未だ独身であった。法律家になることに頓挫し、不動産取引業即ち自営業としてこの業種に携わった、私のこれから歩む人生の航跡の証しとして、体が続く限りこの研修会に参加しようと決したのが30年前であった。

 健康でなければ中々叶えられないことであるが、自分が現役であり続ける一つの証しが、この研修会への出席であると感じる。『連続30年連続受講した・・・』件(くだり)は、宅建協会須高支部が敷く特異な共同意識と、家族の協力によって叶えられたものであると感謝している。
 思えば、歳をとったものであるなと・・・



2008/02/03 (日)