青春の追憶


永   訣

 友人や近しき人のご両親の訃報に多く接した年齢から、いつの間にか最近は、友人の兄弟姉妹の訃報に接することが多いと気付く。更に歳をとったと言うことか・・・

 友人との誼(よしみ)の長短は様々である。幼い時からの竹馬の友もあれば、齢(よわい)を重ねてからの友もいるが、生涯に亘っての友人とは、泥臭く言えば出会いの時期ではなく、寧ろ出合った時以降の濃密な交誼の持続と思っている。

 私は友人との誼は、宿縁や因縁で結ばれた言わば兄弟みたいな縁(えにし)であり、この縁こそ我が天賦される「邂逅によってもたらされた人財」と感じている。生涯に亘って友情は裏切らない大切な宝と、執拗なまでに己に言い聞かせて生きてきた。友人のご兄弟との交遊も生涯に亘ってであることからして亦然り。故に訃報がもたらされると我が身のように切ないものである。

 当然、時間が許される限り斎場に臨み、生前中に賜った誼(よしみ)に深甚なる感謝の意を表し、故人との永訣を心掛けているが、悲しみは一入である。無力な私は、只管手をあわせ瞑目してご冥福を祈ることしかできない。

2014年5月11日記す。