市議会議員佐藤寿三郎の議員3期目前期分の議員活動報告書

市会だより 第13号・統合版


第1章 私の提唱と進捗状況について

 平成19年2月に執り行われました市議会選挙は、お陰様で3度目の当選が叶いました。心より御礼を申上げます。今後とも変らないご指導ご鞭撻をこころよりお願い申し上げます。

 本題の「市議会選挙出馬にあたって私のマニフェスト」と言うべき提唱の進捗状況について、ご報告申し上げます。

1.市職員をあと100人削減する提言について

 須坂市は平成10年から今年の3月までに凡そ100人の職員の削減が実現しました。職員の削減の限界が来ているかなとも感じます。であるとすれば、組織の改革を図り市が現在行っている数多(あまた)の事業のうち、民営化が可能な事業は、躊躇せず民営化を推進し、組織を再編成すべきだと確信しています。「民営化は官に何を残すか」が大切な論議です。このことについて今後も提言してまいります。



2.ぬくもりのある福祉の提言について

 先ほども須坂市の決算の歳出で、民生費と衛生費で51億1千余万円、歳出全体に占める割合が30.5%にのぼることをご説明しました。現在の財政状況にあっては、如何に質を落とさず、温もりある福祉を市民と共有できるかであります。効果的な手立てを念頭においての福祉行政を求めて参ります。
 更に、女性の出産や子育てに国(市)が手を差しのべることが必要です。喫緊の課題として最優先で取組んだ自治体のみ生き残れることを、肝に命じて提唱してまいります。国政問題として、折りある毎に須坂から発信をしてまいります。



3.活力のみなぎる須坂の復活の提言について

 私が、平成18年6月定例会の一般質問で取り上げました広小路(国道406号)の道路整備は、最早、行政手続が粛々と進められる手順の段階にあると認識しております。

 泉小路(都市計画道路八町線)の道路整備につきましては、市との間に、これまで着々と事前折衝が行われていること。沿線の関係住民の組織である「泉小路活性化の会」が存在すること。市が当事者としてこの組織と道路幅員について協議を重ね、関係住民の民意(総意)として16mを容認して来ていること等を勘案すると、泉小路整備の実現性は更に一歩進んだと思っております。是非とも市民の皆様のお力沿えをお願いします。
  
 さて、須坂を復活させるには、「おまつり」が重要であると考えております。全国で元気のある市は、ことごとく伝統的な「おまつり」を抱いています。更に、須坂に来るための道路アクセスが重要です。上信越自動車道小布施PAについては、須坂市としても受ける利便性を勘案し、IC整備に要する費用について、須坂市も費用を出捐することが大切であると思います。須坂の南北にインター入口を持つことが可能です。このことは、県営日滝原産業団地への企業誘致を成遂げることにもつながります。インター須坂流通産業団地の拡大計画についても、私はブックランド構想を過去に提唱した経験を踏まえて、具体的なビジョンを提唱してまいります。



4.こどもは須坂の宝とする提唱について

 次世代の郷里須坂を背負うこどもたちを、「勇気と希望をもつ、背筋の伸びた須坂のこども」として育てようではありませんか。彼らの将来を遠望する時に、学齢期の周辺(生活)環境を高めるためにも、或いは小学校の統廃合も必要かもしれません(出来れば統廃合はしたくありません)。人材育成の手立てこそが郷里須坂を伸ばします。学齢期は二度と還りません。鉄は熱いうちに打たねば用をなしませんぞ。保育園から小学校、中学校をセットで捉えて発言をしてまいります。



5.いつの世も市民が主役の社会を目指します。

 民主主義社会とは、「選挙で選ばれる政治家こそ政策決定の責任者」でなければなりません。更にリンカーンの言葉で代表される「人民の人民による人民のための政治」これこそが、時代を越えて守り抜く民主主義の原則であります。
地方分権時代の市議会議員は、議会で決したことに政治責任を持つことを意味します。様々な情報の収集とともに情報の分析能力が重要なポイントとなりますが、須坂に投げられた問題は逃げずに、「市民益を遠望」した決断を、今後も提唱してまいります。



第2章 須坂市の課題は国の縮図といえる!


県立須坂病院のほっとけない現状

 お産は女性にとって生死をわかつほど重要なものです。夫も家族も安らかなお産を只管(ひたすら)希(こいねが)うことは、神代の昔からの変らない願いでもあり、極めて神聖なものであります。須坂病院の産科がこんなに危なっかしい医療体制であったとは驚きでした。偶々何か原因があるに違いないが、詰まる所「産科のお医者さんが居ないならば、余裕のある病院にお願いすれば足りるのではないか?」ぐらいに思っておりました・・・

 然し、実情は須坂病院だけの解決では済まされないことを知り、これは最早、お医者さんの責任ではなく政治の課題であります。市民の安心・安全況や須高地域(長野市若穂地域を含む)住民の安心・安全施策を勘案するに、須坂病院のことのみの解決策では、隔靴掻痒の論議で終ってしまうのであります。県におすがりする受動的施策では何ら解決にならない。須坂市、小布施町、高山村の須高3市町村がスクラムを組んで、地域をあげて取組まねば、女性が安心してお産ができないことになります。

 私の持論でもありますが、お医者さんの頭脳は1億2700百万国民のためにあるものである基本観念が、どうも医師を志す青年に不足し、医師になることが、生涯に亘り高所得や栄達を得るための手立てとして、医師への道を選ぶ若人がいるとも聞くとき心が痛みます。産科や小児科医師の不足は、市民が思うことと裏腹に、中々思惑や避け難い要因もあるようですっきりいたしません。

 情報の開示が叫ばれておりますが、俄かに浮上した須坂病院の実情が、果たして本当の“情報公開”であったのかと大いに疑問の残るところであり、これを全国的な医療機関の構造的な縮図として捉え、国家が真摯に且つ速やかに抜本的な解決を国策として講じなければ、亡国につながるのではないかと思います。

【9月定例会の一般質問の原稿推敲に当たっての動機】
                Vol.242  発行日:平成19年8月23日から



第3章 地方分権時代における市議会議員のあり方


市議会議員の使命と言論の保障の必要性について

                                  市議会議員 佐 藤 寿三郎

 地方分権時代における、地方議員や首長の議場での発言の保障についても、憲法51条の国会議員の免責特権を、地方議会議員や首長にも保障を与える時代と心得ます。

 憲法が定める免責特権の趣旨は、議員の院内における発言の自由を保障し、もって議院の自律性を確保しようとするものであります。即ち、議員の言論に対して、一般国民なら負うべき民・刑事上の法的責任等の院外の責任を免除することにより、議員の自由な言論生活を保障し、もって議院の自律性を確保しようとすることにあると解されております。【デバイス憲法(103頁〜)】

 判例は免責特権の範囲について、「国会では行政、司法等に対する徹底的な批判がおこなわれなければならず、そのため往々にして個人の名誉、社会の治安を害することがありうるのであり、通常の場合には尊重さるべき個人、社会等の反対利益も譲歩を余儀なくされざるをえないのであって、もしこれにかかずらわっているときは言論を萎縮させ、また場合によってはこれを抑圧することになりかねないのである。」としています。【東京地判37.1.22・第一次国会乱闘事件】

 ここで注意しなければならないのは、前掲の判例は昭和37年に下された判決であることであります。平成12年4月1日に地方分権一括法が施行されて、国家と地方公共団体はかっての上下・主従の関係から、対等・協力関係となり、統治体系が一変したことを勘案すると、東京地判37.1.22・第一次国会乱闘事件の判決の精神を、地方議会にも拡大されるべきものと思います。

 主権者たる市民(国民)は、国家から地方公共団体への権限の委譲がなされた事実を理解され、地方議会においても行政等に対する徹底的な批判がおこなわれなければならない時代である認識が必要であり、このことは取りも直さずこれからの地方議会において、往々にして個人の名誉や社会の治安を害することもありうるので、議員の議場における演説、討論または表決についての発言の自由を保障し、このことによって、市民の一番身近にある地方議会の自律性をも、確保せねばならない時代が到来したものと私は思います。

 住民と一番近い関係にある、地方議会議員の自由な言論生活の保障を確保することこそが、我が国の民主主義制度の保障につながるものであります。このことは民衆の権利獲得の歴史は、常に地方のそれも少数意見から湧き上がった事実を知るべきであり、日本国の更なる民主主義を守るためには、地方議会議員の更なる民主主義を守る番兵の意識を負わせることが必要であり、子孫のために民主主義制度の堅持を図るためにも、世界に先駆けて日本が、地方議会議員の発言の保障について、法律に明文化すべきであると考えます。

 このことこそが、日本国憲法で保障される市民(国民)の侵すことの出来ない権利を守る手立てに通じると、固く信じるものであります。これが私の「I have a dream」です。


〇参考文献:デバイス憲法(103頁〜)早稲田経営出版。憲法・橋本公亘(211頁〜)中央大学。憲法・清水睦(290頁〜)中央大学。地方政治が危ない!樺嶋秀吉著サンドケー出版局。

※この稿は、月報58号(平成15年・8月号)にて、地方議員の免責を唱えたものに、改めて意を整えて加筆したものです。



 当時は地方議員で誰も私に賛同する者はありませんでした。寧ろ議会の議事運営上における品格を問う程度のものであり、憲法が掲げる「議員の免責特権」の趣旨の重要性を、殆んど理解していないと思われる議員の集りが地方議会でした。

 最近漸く地方議員の方の一部に、「地方議会を言論の自由の府」としての自覚をする議員が出てきていることは嬉しく思います。「地方議員立候補資格試験」が施行されない以上、「憲法?そんなの関係ない!」と逆切れする議員が未だ大多数であることが実情です。




第4章  随筆  終生書生気質の特選

 終生書生気質は、私がメールマガジンで書き綴るものですが、インターネットを利用されておらない多数の皆様から「是非読んで見たい」との要望を頂きますので、「終生書生気質」の中から、いくつかを選んで掲載しております。

       故郷は緑なりき  随筆・俳句 をご覧ください

                                    発行日:平成20年3月16日