友よさらば




恰も春には熟した杏の実が、秋に栂の実が音も無く枝から静かに離れるように、
人の命の灯は消えるものなのか。あまりにも儚しものにて御座候

親しき友の突然の訃報に、
「そんなばかな・・・」と声も出ず
堪えることのできないやるせなさが襲う。友よ生き返れと天に叫びたくなる

還暦を越えはや父母もなく。今年は四人もの友が黄泉へ旅立った
二度と言葉を交わすことあたわずん、青春のありひ日々を巡らす

歳月は止まることなし、冬の次は春が来るものを、死はすべてを絶ってしまう
永訣はつらいものである。已矣乎、已矣乎


2012/11/3記す