信頼は薄紙のごときものなり

 人の信用の或は信頼について綴ろうと思います。

 信頼と裏腹にあるものは不信なり。信用は薄紙を縒ったものににて、強いようでいて、実は水にぬれると綻びて強度を失い、あっけなき弱きものにて候。
 人が感情の持ち主である以上、避けられない感情の乖離は、打ち寄せる浪のごとく打ち返し、場合によっては全てを洗い流すものとなる。
 
 ある人がいた。老いるほどに固執し、猜疑心がます。言葉の端を執拗に咎め、詰るところ自滅する。言葉とは重宝のものにて、あれこれ繕うが、信頼を失いたるものの言動は響きがなく、狼少年のごとく、誰も信用しなくなり、身を滅ぼす。
 他人事ではないと戒めなくてはならない。

2003/07/13 (日)