こころの温もり


 「哀愁」・・・・・・・・・・
 これについて多くを語るはヤボです。観た人の心の中に何時までも焼きついて離れない名画中の名画であるからです。
ロバート・テーラー演じる青年将校とビビアン・リー演じる踊り子との悲運は、「慕情」のジェニファー・ジョーンズ演じる女医と恋人のウィリアム・ホールデン演じる新聞記者との悲運と重なり合ってしまいます。

 「哀愁」のもう一つの見どころは、主人公ビビアンを庇ったばかりに、舞踊団を一緒にクビになってしまった女友人です。収入を閉ざされた二人に悲運は更に襲う。青年将校の戦死の悲報(実は誤報)に落胆してビビアンは病気になってしまう。この女友達は娼婦をしてまで治療代を稼ぎ出す.「いつでも友達」の心意気なのであろうが、中々出来ないことではないか!・・・・・・

 ところで、県内のさる場所に、「言葉は人の心を暖かくする」と誇らしげに壁書きしてありました。敢えて苦言を申し述べれば、この場合に「言葉は人の心を温かくする」と書くべきであり、この一字の違いは『利己主義と個人主義』程に違いがあると僕には思えてなりません・・・・・

 否々、青春時代に『哀愁』や『慕情』、『夜霧のしのびあい』や『ライムライト』を観ていれば、少なくとも軽薄に「心を暖める」とは書かんでしょう・・



2005/10/25 (火)